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□    SSSⅢ
壁に背をつけ、不規則な息を漏らすeatmyを抱き起こす。「さる組織の落し種だったらしい。薬入りの菓子で、自分も相手も暗闇の中へ飛ばすのが常套手段だそうだ」もうこちらへ転げ落ちてしまったけど。今頃は、自らも知らない穴の底で怯えているさ。付け加えて、無意識なのか袖口を掴む白い手を握ってやる。苦しげな呻きが、少し掠れていた。(?+eatmy スパイ人形ネタ)

「もし白兎が、お茶会なんて放り出して魔法のお菓子を平らげてたらどうなったんだろうね」「‥‥何だって?」 クッションに凭れて寝息をたてる少女の瞳には、夢に没我する恍惚が見て取れた。(埃くさい童話の幻視だったのか。脅かすなよ)安堵の息をつかせぬ不穏が蟠る。もう一度振り向いて、もしこの人形が居なかったら。(eatmy+人形 イレギュラーネタ)
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早回しの無声映画は、視界が反転した所でフィルムを止めた。色彩の波に塗れた悪趣味な静止画面に、夢魔が悦楽を抱き抱えて割り込む。「んー、やっぱリ男の子は堅いネ。色々」化け物に飛び起きて無く子供へするように、頭を乱暴に撫でられた事すら視界を歪ませる。飾り立てられた自分自身が、まだ舞台装置の隅に置き去りにされていた。(時計兎+eatmy)

この酷く不安定な高さへ追いやられてから、時計の針の幾度か。適当に切られた黒髪が、相も変わらず目の前で揺れている。窮屈なブーツを抑える掌と体を預けた首筋とが、普段触れられる場所以外からの熱を伝えるものだから、益々不名誉な扱いを受けてたまるかと覚えず漏らした呟きと、纏めて瞼を擦った。夢見の悪さに懐かしむ場所なんて、無い、し‥‥‥(チェシャ猫大+eatmy)

――結われたリボンを整える巴の手に、確かに尾の先端が当たった。意識外から齎された接触による反射的な筋組織の収縮ではなく、さも非礼を責めて払い退ける様に振るわれた物であると言う事は、その付け根の部分から目をひいて乱れるドレスの裾を見れば明らかだ。それはレースの一片よりも脆い最後の理性。少女の"拒絶"は氷の針のように、指先を貫いた。(巴+夜臼人形)

「諸手の行軍は傍聴席を求むかけ脚の反語、このまま鏡の裏側まで御案内致します。赤い花も咲かない穴ぐらの底、為れどアリスは鍵師でも案山子でもない。扉の数字の秘密を誂えたのは貴女です。さあお立ち合い、錆びた時計の針を起こしに行きますよ」きらきらした瞳は最初から私を見ていない。たすけて、と言いたい心のなかに、花びらのような柔らかい指が跨がっていた。(猶+夜臼)

「‥‥野うさぎみたいになってしまって。今の君は荊に飛び込んだだけで壊れそう」触れた髪からは、遺言のように芳香が一筋流れ出す。眠りの庭へ落ちた彼の仕事は、今や甘い庇護を賜るだけだ。人形師のみる夢に水銀の雫を落とせば、その手へ紡ぎ糸が声を織り接いで再び孤独を注ぐ。ただ、足跡が道へ思い及ぶ事を、願った。(巴+時計兎 人形孵りネタ)

「‥‥‥で、件の娘には感付かれたのかな」「何とも言えませんですね」華奢な車椅子は車輪の油が切れたのか、巻き上げ機のような音をひいて止まる。黒い膝かけとヴェールの下では、手折られた人形が静かな寝息をたてていた。その意味を理解しているのかどうか、不躾にもデキャンタボトルへ溜まる赤黒い液体をそのまま口へ含んで、猶は小首を傾げた。

「それでは、御身の餞を務めさせて戴きます」芝居掛かった口調で猶が傅く。細い息を漏らして身を預ける少女の髪から冬の花の細工品を外して、巴が告げる。「この子は、眼を必要とし過ぎた。あらゆる人の向ける眼、くまなく与えられる眼を」七欲の人形なんて売れないもの。女王の瞳は、傲慢へ落ちた天使のそれよりも冷たかった。

その言葉を聴くとも無しに、猶は左手の指先を肩口へ添える。硬く、透明度の高い爪を染める最初の数滴には触れずに拭いとり、浮き上がった赤へ初めてその劣欲を突き立てた。僅か許された痕以外を抉らぬよう、弔いの装いを汚さぬよう、そしてその僅か残る肌の温みに手を引かれ、名札の無い死者の卓へ誘われぬように。(猶+巴 人形始末ネタ)

かん、こん、かん、こん、鐘が鳴る。狸寝入りで猫になれ、嘘つき嫌いのクロケット。嗚呼、林檎色したエナメール、エプロンドレスの人で無し。君じゃない、君じゃない。忘れた眼をして待っている、扉が開くのを待っている。だけど君には通れない。眠る子の絵画は虚像の鏡。頁の向こうに悦は無し、ただ。君の、墜ちる、墓穴  が。(猶独白(→店員アリス))

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□    SSSⅡ
ぎり、と噛み締めた歯列を解くように舌でなぞる。髪飾りで押さえられたベールを剥がせば、飴細工のよう両眼へ嫌悪の色が宿るのが確認できた。抵抗のつもりなのか、渾身の微力をもって蹴り付けてきたブーツの脚も自らの身体で割り開かれている。「・・・餓鬼」 獣が嗤った。

「そうやって、ずっと甘い匂いだけ振り撒いてきたのか」 柔肌が、慣れぬ行為で浮き立つ汗に濡れて得も言われぬ芳香を放つ。調合された偽りのそれではない、生きた熱量。「散々周りの奴にお預け食わして、ガラスケースの中に居たのはてめぇじゃねーか」 くっ、と煽る声音が低く響いた。

ぎゅうと閉じられた唇は悪態を吐かれるその一瞬の間に塞ぐ事が出来た。野郎に舌を食いちぎられるという不名誉な傷を負わないよう賺さず低温の粘膜を自分の咥内へ引き込んでやる。無防備な下蓋から裏側までを舐めあげ、細腰が反るほど抱きすくめると胸元を掴んでいた腕が縋るように垂れた。

下腹部に手を当てただけで、相変わらず細っこい脚が宙を掻く。「止めろよ本当にっ・・・服が、汚れるから」 驚くほど中身の無い拒絶の文句にこいつの中身を占める件の人形屋の影を見た。じゃあ全裸にするか返す気も無くし、興の醒めたのを八つ当たりにきつく服の上から擦り付ける事にした。

割り込まれた脚の間で、コルセットが型くずれしそうなほど強く膝を押しつけられたのは気のせいではない。びくり、と相手の肩や胸を殴りつけていた拳が停止し、逃げ場を求めて絨毯敷きの地面を掻く。その両腕を頭上に押さえつけて完全に固定し、開いた片手で腰を掴んでゆるりと押しつけた。

普段は覆い隠されている首筋を、水音を立てて吸われる。背を伝うような熱が濁り、そうして広がっていく感覚にもう先程までの冷たい疼痛は無かった。ただ、長く骨張った指が滑る骨の浮いた胸元が、唇で辿られる茎の根本が、そのもう少し奥にある得体の知れない熱源が、どうしても苦しかった。

ゆるゆるとした屹立は見られるものの、件の少年はまるで傷口でも弄られているかのように悲痛な呻きを噛み殺すばかりだった。(・・・傷付くねぇ) こっちにもプライドってもんががあるんだから、と一人ごちて濡れた舌先を鈴口に埋めれば、銀糸の髪を乱れさせて必死に腰を引こうと藻掻いた。

「ん、 ‥‥っふ」 散々に舐め熔かしたそれを敢えて一気にくわえ込み、喉の奥に最も敏感な粘膜を押し当てる。柔らかく張った陰嚢は舌で擦り、咥内を締めながら啜ることで吐精を促してやれば、未知の感覚に瞳が揺れているのが見えた。うす苦い、とろりとした体液が猫の口蓋に広がった。 (猫+eatmy)

無理矢理に息を吐く肺が痛い。「ひ‥‥っ う、ト モエ‥‥」 否、先程から何度も逡巡して、誰の名も乗せずに絞り出す声が、骨の中まで染み通っていくような空虚が、ただ痛かった。「っ、 あ   、――ッ  あ‥‥‥」 人形の持つ硝子の両眼を、凍りつく程の涙が塗り潰していった。 (eatmy独白)

首を仰け反らせ、可哀相なほどに全身を揺らして刺激に耐える目の前の餓鬼の眼に、さて自分はどう映っているのかと柄にもなく考える。人形だとかいう化けの皮をあっさり剥がされた、どうしようもなく非力で隔絶に甘んじる、ただそれだけのクソ餓鬼。(・・・非力?) 厭な声が、聞こえた。 (猫独白)

「‥‥あーあ、こんなに食い散らかして」 うんざりした言葉の通り、纏った衣服は強引に破りとられ精巧なつくりの髪飾りも見る影はない。依然押し倒された状態の少年は白い胸を晒したまま香炉の蓋を開け、男の傍へ引き寄せた。「―――好いよ、腹ぺこの坊や」 寂しかったね、と嫣然に。 (分岐b eatmy+猫)
□    SSSⅠ
小さく口づけを施した少女の眠たげな瞳には薄暗い一室が映り込んでいた。長い髪の魔法使いが意地悪げに微笑む。哀れなお嬢さん、薬草の苗床にしてやろう。眠りを知らない踊り子人形に変えても良い。いっそこのちっぽけなコウモリの羽をはやしたにせものの妖精にでも仕立ててしまおうか?

薄気味悪い囁きは、しかし秘密めいて花開き非日常の薫りを漂わせる。その力無く座り込んだ膝の上、白いレースの首輪を着けた子猫が不服そうに自らの尾を一瞥してそっとすべり降りた。「(可愛い顔して被飼願望ね・・・)」 お伽の国へご案内、と吐き捨てる声は可憐な鳴き声ではなかった。 (eatmy+少女)

柔らかな吐息が触れ、意識の奔流に飲み込まれる。自分を取り巻いているのはどうやら硬質の冷気の様だった。視界に広がる滑らかな光、それを挟んでこちらを覗き込んでいるのは―― 「‥‥俺、か?」 きわめて珍しく、人の形をとって介入する視点。身なりの良い少年の姿をしている。

腰掛けたままの姿勢と、それを覗き込む霞がかった誰かの影。長い、陶酔にも似た共有感覚は少女独特の温度に乏しいように思えた。   「‥‥‥‥さっき送った子、居ただろ」 馬鹿馬鹿しい仮定だ。それでも、あの光景に意味を見出だそうと心がざわつく。 「あれ、よく調べておいてよ」 (宝石人形+eatmy)

・・・変な子だとは思っていた。つい先程交わした筈の景色がもう朧気に薄れている。何も聞こえないどこかで、向かいに座る誰かを見ていた感覚だけ。視線を彷徨わせ、膝に重ねた自分の手、それから相手の胸元の、黒い襟ばかり交互に視界に浮かべていた。取り落としたナイフの銀に、ふと目眩を覚える。 (eatmy+嗤殺猫市)

「・・・"la petite mort "のリストを」電話を置いた店主は無言で厚い冊子を捲る。名前の横に添えられた写真には、羽根や毛皮を纏う小動物のような姿が映し出されている。無表情だか穏やかな微笑みを浮かべているようにも見える、その少女は間違いなく巴が送り出した人形だった。 (巴 共闘企画より)

空間を境目無く埋め尽くす色彩の渦から逃げ付いた先は、闇の底のような静まりかえったフロアだった。磨き上げられた扉も暗さの為か景色を映さない・・・否、この一体が穴ぐらの行き止まりではなく未だ入り口、夢の世界へのきざはしであることを、恐らくは渡り廊下の最端に佇む白い人影が伝えていた。 (eatmy+上層階スタッフ)

本から本まではしけをかけた本の山を並べて詰んだ。革のソファは読みつぶした聖書のペェジを丸めて磨くのがいんちきだけど綺麗になる方法だ。ランプの球へ湖を詰めよう。床がまた白になったから花弁を踏んでオイルをかける。「お誕生日でない人の名札がないな」あとは女王様が開けてくれればしまいだ。 (トランプⅤ独白)

少女の言葉は閃星灯の下で空気砲のように何度も弾け、その度に錫螢が慌てて傘のなかへ逃げ込む。炭酸水のグラスには触れず、懐紙に盛られた色硝子のような破片をそのまま飲み込んだ。「"土星の輪"を無闇に食べてはだめですよ」吐き出した溜息は、既に声ではなく小さな光を含んだ煙りに変わっていた。 (?+少女)
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