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「気乗りしないすね」お情けのバリケードを一瞥してコート姿の生徒が呟いた。やむなしの共同戦線という提案も殆ど聞き流していた彼女は逆向きの気怠い姿勢で椅子へ腰掛ける。「策を弄じるだけなら生きてる限り無駄ですよ。対策しようとする、無視しようとする、同じ土俵に上がろうとする、傍観しようとする」 

「仮に誰かと潰し合うのを待ってもそこに皇さんへの介在が生まれる。頭から追い出すのも駄目。考えないようにしている、と考えないようにしている。ほら手詰まりだ」 しん、と静まり返った空気など気にならないのか言葉を続けながら椅子をガタガタと揺らす。「重力に逆らった所で徒労で終わりですよ」 (増長+?)

「失礼ながら、貴方の生まれは特殊です。この状況を打破するだけの力が望める」 「でも、まあちゃんみたいなこと出来ないよ」 「僕は往生際が悪いだけの人間ですから‥‥行きますよ!」 人為らざる遺伝子を抱いた少女の手を、人からほんの少し離れた能力を手にした人間は強く握り締めた。 (増長+夜臼)

「ライン化された単一な力は、数の面では効果的な威力を誇りますがパターンとして見れば穴だらけです。まあ小生見ての通りか弱いんでぶちのめすなら平和的に弁舌でもぶっててくださいよ。ね?」 悠長に語りかける仕草に敵意が滲む。錆走る刃は、その冷たさが見えないほど鋼鉄のワイヤーによって雁字搦めに捕らえられていた。 (増長+赤嶺)

陰惨な空の下、二人分の影が僅かな陽に伸びていた。「死体を避けて屋上でサボりとはねぇ」「ふふ」銀髪の少年へコート姿の誰かが暢気に呟く。「それで、『腹括った』ってのは」「あなたと同じですよ」す、と立ち上がった"生徒"は、微かに微笑んで言った。「あの人はもう駄目だ。僕が潰す」 (増長+哀川)
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