氷菓の残り香を手繰る薄い舌が、ほんの一瞬口元をなぞった。端に軽い音を立ててキスを落とし、尚もじゃれついてくる姿はそのまま子猫の無邪気さに重なる。真意、と呼べるほどもないあるがままの行為がさも幸せそうに、しかし当の相手はそれを咎めているのか何事かを言伝て席を立つ。仄かな温もりに触れた筈のその横顔は、思案する表情を隠してただ俯いていた。 (夜臼+増長)
背中、それから腰の後ろを撫でられているだけなのに体は重くてだるくて、力が入らないからもうずっとよりかかったままでいる。猫の子供みたいに喉が鳴るのが恥ずかしくて、どこへ持っていっていいかわからないそれをぶつけるように首の傍へ噛み付いてしまう。少し目を細めて息を吐く様子に、前思いっきり叩いてしまった事を思い出して、もしかして痛いのに強いのかなぁなんてふと考えた。 (夜臼+増長)
抱き抱えた膝の上、機嫌良く揺れる灰色の毛並みにつられたのは甚だ無意識と言う他無い。おもむろに引き寄せて、以前の教訓から歯を立てないように角度を変えて何度も食み、内側のさくら色をした柔らかい場所を舌で突くと咄嗟に縮こまった身体は面白いほど硬直し、やがて身じろぐように肩を震わす。この他愛もない悪戯に耐え兼ねた彼女の動向を、黙って待った。 (増長+夜臼)
白い咽、震えるそこに食らいつく。口を塞いで、そうして少しでも奥へと強くかき抱いた。酸素を求める舌を絡め捕って、声も息も纏めて飲み込む。髪と頬の起伏を濡らしている涙には触れないまま、空いた片手でモノクルの上から視界を塞いだ。自らの胸に押し当てられた手が次第に力無く衿元へ縋るだけに変わり、布越しの微かな温度は疼痛となって広がる。この行為の意味を、伝えるために。 (増長+夜臼)
がぷがぷと右手に噛み付く様は、所謂求愛のそれと言うより単なる口寂しさから来るらしい。くわえ込まれて見えない指で舌を叩くとそれに答えて熱っぽい声が漏れた。思いついて無防備な尾に手を這わせれば驚いたのか少しきつめに歯を立て慌てて口を離す。ひりつく程度の跡は早くも温度を無くして半ば消えかけた歯列だけが色を持っている。赤く刻まれたそれが指輪のようだと、ふと思った。 (増長+夜臼)
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